数

日記なんだか、そうでないんだか、ここで書かれている文章はなんなんだか、そもそも、ここの存在している理由自体がよくわからず、当然ながら明確な目標もないので、野望もありません。多くの人に読んでもらいたいとも思わなければ、有名にしたいとかも無く、ぐだぐだです。

本家のサイトの方はもっと明確な目的というか、目標みたいなものがありまして、とにかく小説を読んでもらう、その評価を頂きたい、という、そんな感じです。そんな動機があるもんだから、費やす時間も労力も、こちらとは比べ物にならないものでした。一週間で約10000字というペース。もう過去のことですが、およそ半年ほど続けました。自分の筆の速さを考えれば、今では絶対に無理だと思える頑張りようです。

そんな甲斐もあってか、アクセス数の方は伸びていきました。これが最初の内は嬉しく、二桁の内で上がり下がりする数字に一喜一憂してみたりもしました。その頃が、ある種、一番楽しい時期でもあるのではないかと思います。しかし、順調に数が増える程、段々と、そちらからは興味が失せていきました。

多くの人に見られているということは、それだけ興味を持たれているということで、それはそこそこ、面白いものを書けているという証明にはなるのかもしれません。実際、そのお陰で自信を持つこともできた気がします。

ですが、どんどんとこちらを見る眼が増えていくに従って、逆に、こちらは向こう側を見ることができなくなっていくようでした。訪れてくれる人が数人だった頃、私は彼ら彼女らの動きひとつに、馬鹿みたいに大きく感情を動かしていましたが、その数が十から百に移り、百から千に移る頃、誰かの「面白い」という言葉にすら、以前ほどの感動は覚えなくなっていました。

私の方から読み手の顔が見えにくくなってしまい、そうして、見る気も薄らいでしまった結果、私の瞳は、自らの方に向くようになりました。元々、それこそが書き手のスタンスとしては正しいのかもしれません。強烈に読み手の「数」を意識して始めてしまったのが、スタート位置を変えてしまったようです。

まあ、しかし、これが商業的な意味を持つプロになれば、再び読み手の「数」を意識しないわけにはいかないのだろうな―――とも、かなりどうでもいい、不必要な想像をしてしまいます。