2日目

夜更かしの後の目覚めだが、意外と気分良く起床。体も重たくはない。元からあまり飲んでいないので、酒も残っていない。窓から差し込む朝日がまぶしい。晴れやか。爽やか。ゆったりとコーヒーでも飲みたくなる感じ。

でも、隣ではmalamoの鼻血。

唐突に話題は変わりますが、昔、私は遊園地に住んでいました。生まれて間もない赤ん坊の頃です。田舎にある大したこともない遊園地ですが、祖父がそこで旅館を営んでおりました。私が生まれてすぐに旅館はやめてしまったので、住んでいたと言ってもほんの一時期のことです。実際、私には何の記憶も残っていません。

しかし、旅館はやめたものの、祖父は同じ遊園地でレストランを初めました。週末になれば、家族総出で手伝いに行ったものです。普通の子供が近所を探険したり、野山を駆け回るように、その頃の私は遊園地を遊び場にしていました。

従業員用のパスを借りて入場口をひたすら往復してみたり、一日中ゲームセンターの床を見つめてコインを探したり、お化け屋敷のそばでお客さんの悲鳴を聴いてみたり、園内をぐるりと一周するように犬の散歩をしてみたり。

ろくな遊びをしてません。

まあ、正直な所、十数年間も遊園地に入り浸っていると、いくらなんでも飽きるものです。子供時代の私の口癖は「早く家に帰ろうよ」でした。遊園地よりも我が家が大好きな子供なんて、本当イヤですね。家族サービスを嫌がる親父みたいです。

で、話は私の昔語りから現代に戻りまして。

合宿2日目のメインイベント、富士急ハイランドです。

来た。遊園地ですよ。皆が遊びに行く気満々の中で、私の心の奥底では家族サービスを嫌がるおっさんが「だりぃよ、遊園地なんて面白くないべ」なんて風に幼少時代のつまらなく灰色に霞んだ記憶をちくちくと刺激しています。

そもそも遊園地にお金を払って入場する時点で、私の心は過去の記憶との不協和音を起こします。なぜに遊園地でお金を使わないといけないのか。違う。遊園地は金を儲ける場所であるべきだ。関西人の鏡とでも言うべき商魂たくましい祖母の顔が頭に浮かびます。時給百円で働かされていた小学生の頃の思い出よ……。

…………。

いい加減、話が進まないので、ここからは事実の列挙でいきます。

前日まではバスやら何やらで移動と言われていましたが、結局タクシーで分乗して行くことになり、私やT澤君などのいつものメンバー5人で富士急に向かいました。移動時間そのものは短かくも、色々とあって自由行動になったのは11時を過ぎた頃。炎天下によって、既に私は死にかけです。

束縛から解き放たれたものの、しばらくの間、数人で移動しようとしたグループに他の人達もぞろぞろくっついて行くという奇妙な光景が繰り広げられることに。みんな自主性が皆無。お化け屋敷や絶叫系を目指すグループなどに別れて、ようやくばらけ始めます。

そんなこんなで乱れに乱れた結果、私が一緒に行動するだろうと考えていた女子3人は、いつの間にか消えていました。同じく取り残されたT澤君と二人、途方に暮れながら歩き始める。当然、目的地などありません。なんだか散々なスタートです。

どうしようもない所を、corujaさんと姐さんに拾っていただく。いつの間にやらM田君やTヶ谷君とも合流する。合わせて6人となり、とりあえず何かに乗ってみようという雰囲気になり、ロッキースライダーとやらに挑戦する。ジェットコースターとグレートザブーンを足して、大きめの数で割ったようなアトラクション。

かなり長い列を待つ間、ディズニーランドでバイトしているcorujaさんから回転率の悪さなどに関する言及をありがたく拝聴する。いつも思うことだが、彼女は凄い。私などよりも遙かにタフに生きている感じがする。見習いたい。見習うべき。

当のアトラクションは4人乗り。こちらは男4女2の6人。列も進んだ頃になって、どういう振り分けで乗るか考えることになる。男4人で乗るなんてまっぴらだと思い、私が女性陣2人の方に混ぜてもらった。その時は別に何も思わなかったが、改めて書いてみると、もしかして自分は要領よく生きているのかもしれないと思います。

アトラクション後、最初に別れてしまった女性陣3人と合流。さらに大所帯となる。どのアトラクションも混んでいるので、いまいち並ぶ気にもなれず、適当に徘徊。偶然に空いていたものに乗ったりしつつ、昼になる。昼食。

園内の奥の方にあるフードスタジアムという場所で、適当にハンバーガーなど食べる。値段と味の不釣り合いさに、遊園地価格を思い出す。一本30円の缶ジュースを150円で売っていたあの頃。因果応報を感じつつ、地味に食す。その後、女性陣を無視してT澤君と2人でアイスを食べる。幸せだった。

ちなみに昼食時、他のグループが大勢あらわれた。先輩方やら同じ一年の集団やら様々。お化け屋敷にチャレンジするという先輩グループに、うちのグループから数人合流することになった。今更だけど、私自身は怖いものや絶叫系は駄目である。絶対に行くまいと強固に自己主張したため、チキンの称号を得ることになったりしたが、事実なので気にしていない。おそらく世間では、これを開き直りと呼ぶはず。

昼食後に関しては、特筆すべきことは無かったりする。私自身は行きたいものも無かったので、周りの動きに完全に身を委ねていた。頻繁にグループが別れたり、合流していたりしたが、いちいち書くと大変なのでやめておきたいと思う。というか、長くなりすぎているので、ここらで省略していかないとやってられない。

最後に書いておくとすれば、やっぱり集合間際のグレートザブーンだろう。やっぱり遊園地である。ハイテンション。びしょぬれになるまで羽目を外すのも悪くない。見ていて楽しかった。私自身はチキンなので、あんなアトラクションに乗れるはずもない。ひたすら傍観者。チキンチキン。

濡れた方々を置き去りにしたりしつつ、コテージに帰還。

夕食作り。メニューはトマトの冷製パスタ。初日と同じく、自分が自分でないように感じる程、真面目に手伝ってみる。だけど、味はわからず。トマト嫌いなので、作ったものの一口も食べることができなかった。無念。余り物で作ったお手軽パスタで飢えをしのぐ。

九時頃、一年読書会。

しかし、疲れのためか、あまり記憶が無い。

その後、酒を飲む。

記憶はあるけど、何を書くべきか。Sanguineさんの持ってきた映画を見たりする。ホラー。苦手だけど、頑張って見た。Azさんが可愛くなるくらい怯えてた。話が進む毎に鑑賞者が増えていくという摩訶不思議。

映画と言えば、しかし、夜中も丑三つ時を過ぎた頃、本命が現れた。泣いた。涙で曇った眼鏡を拭いた。嗚咽を漏らした。息ができなくなり、目眩した。凄いよ、テニス。あんなに笑えたのは、はたしていつ以来だろう。

笑い疲れて、遂に就寝。

《3日目に続く》